“思考停止”をやめて経済的自由を手にいれる/外資系証券出身シンガポール在住FPが語る
取材特集 花輪陽子(ファイナンシャルプランナー)
読者の皆様は、”海外での資産運用”と聞くと、どんな印象を持つだろうか。 一般的な日本人ならば、危ない、怖い、というネガティブなイメージを持つ人が少なくないだろう。
しかし、今回取材した花輪さんは、「まさにそのような習慣が、”思考停止状態”で、物事を考えずに判断してしまう怖さ」だと語る。 彼女の強い言葉は、過去の苦い経験から来ている。
いきなりのリストラ
2001年、青山学院大学を卒業した彼女は、大手の外資系証券グループに新卒で入社した。担当したのは、海外のヘッジファンドからの大量の注文を日本の市場で執行する、いわゆる決済オペレーション業務だ。大きい金額では、1度の注文で50億円になることもある。 それから7年、順調に仕事を覚えて、結婚もし順風満帆な生活を送っていた。しかし、2009年、リーマンショックのあおりを受けての業務の縮小に伴い、リストラを宣告されてしまう。 まさか自分が無職になるとは。自分自身のキャリアについてしっかりと考えていなかったことを後悔した。 さらに不運は続く。なんと、IT企業に勤めていた夫も同時期に無職になるのである。それまで好調で、上場一歩手前まで進んでいた夫の勤務先が、同じくリーマンショックのあおりで倒産するのだ。 幸いなことに、夫はすぐに別のIT企業に転職ができたものの、そこで初めて人生におけるリスク分散の必要性について考えるようになる。
「今思えば、あまり考えずにただただ目の前の業務をこなしていた。自分がリストラなんて。」 これまで、キャリアについて深く考えたことがなかった彼女にとって、急に選択を迫られることになる。しかし、会社に紹介された転職エージェントでは、好条件の転職先をいくつか紹介されたが、あまりしっくりこなかったと言う。 「また大きい会社に入社して、目の前の仕事をこなすだけで良いのだろうか。」色々と考えた結果、周りの反対を押し切り、FP(ファイナンシャルプランナー)の資格を取って、個人の資産運用、ライフプランのアドバイザーとして独立することを決意する。
しかし、外資系証券会社に勤務していたものの、ファンドの資産運用と個人の資産運用は全く別物だ。ファイナンシャルプランナーの知識に関しては全くの初心者だった彼女は、なんとか仕事をもらえるようになろうと、様々な本やブログを読み漁り、理解を深めていった。 そんな折、たまたま出会った著名な個人投資家の方に、本を出版することを勧められる
思考停止をやめて一歩前へ
「自分には到底できない」 FPとして活動をし始めてまだ1年足らず。人一倍勉強はしているものの、自分が人に対して何かを語ることなどできない。そんな思いが一瞬頭をよぎった。 しかし、その時ハッと気づいた。自分は今まで、こうやって思考停止状態で目の前のことを判断してきたのではないか。 簡単に決めつけて、内容をよくよく考えずにあっさり判断してしまう。いつの間にかそんな習慣が身についていた。その結果、人生を自分自身でコントロールするのではなく、周りの情報に流されて振り回されてしまっている。
一念発起という言葉がぴったりかもしれない。今までの自分を変えるべく、どうすれば出版できるのか調べ始めた。出版社の方にお会いしてみると、少ないながらも可能性が見えてくる。少しずつ議論を積み重ね、なんとか出版にこぎつけた。 その時に出版したのが、「夫婦で年収600万円をめざす! 二人で時代を生き抜くお金管理術(出版:ディスカヴァー・トゥエンティワン)」だ。
この本は、彼女の処女作ながら、5万部を売り上げるベストセラーになった。普通の会社員夫婦が実際にリストラにあった経験、そしてそんな世知辛い時代を生き抜くサバイバル法を実体験として説明しており、誰でも実践できる内容として伝えている。 リーマンショック後の長引く不況で「リストラ」や「派遣切り」などの社会問題が噴出する時代だったからこそ受け入れられたのかもしれない。
「書籍を書くなんて無理、と思っていたのは、ただその方法を知らなかっただけで、やり方がわかれば可能性が見えてくる。大切なのは、思考停止をやめて情報を取る事。」
彼女が出産をした直後にシンガポールに移住したのも、そんな思いが根底にある。一般に、海外での資産運用や、子供の教育は、憧れではあるものの普通の家庭にはハードルが高いとされている。情報を取ろうとしても、税金逃れの富裕層の海外移住の情報ばかり。自分たちの実践できる有益な情報はなかなか見つからなかった。
「本当にそこまでハードルが高いのだろうか。」あえて普通の家庭である自分達が実践をして、その情報を伝えていきたい。2015年に移住して以降、そんな思いで書籍やメルマガ、様々な講演を通して情報発信をしている。
子供はもう5歳になり、現地のインターナショナルスクールに通い始めた。30歳で経験したリストラと独立、そして海外移住と子育て。普通の女の子だった彼女が、思考停止状態を抜け出して、様々なことにチャレンジをしてきた経験則は、きっと読者の皆様の役に立つだろう。
思考停止をやめて、経済的自由を手にいれる。
日本の社会保障費の限界、老後2,000万円問題が取り沙汰され、将来の不安が広がる中でどのような選択肢があるのか、我々は冷静に考え始めないといけない時期に来ている。
August 11, 2020
Links
- 書籍「夫婦で年収600万円をめざす! 二人で時代を生き抜くお金管理術」↗︎
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